俺と彼女の出会い
雨の早朝だった。
その日は休日だった俺は、雨のドライブとしゃれこみ、車で富士五湖に向かうことにした。
家を出てから、城山通りに出て、それから環八を左に行って東名に乗るつもりでいた。家を出る頃から雨脚が次第に強まり、とうとう本降りになってしまった。
バス停に若い女性が一人でバスを待っているようだった。「雨の中、大変だな」と思いながら、バス停を通過したとき思いがけず派手な水しぶきを上げてしまい、ハッとして左のドアミラーを見るとその女性に水しぶきをかけてしまったことを俺は確認した。
ブレーキを掛け、車を止めると安全確認をしてから、車をバックさせてバス停に戻った。
俺は傘もささずに車を降りて、彼女に謝り、着換えのために家まで送る、申し訳ないので目的地まで送る、と言う提案をさせてもらった。
彼女はどうせ雨でぬれるのだから構わない、と笑っていた。むしろ俺の方こそ傘もささずに濡れるから、もういいとも言ってくれたが、それでは俺の気が済まなかった。
結局、彼女はいったん戻り着換えをすることを望んだので、俺は彼女の家まで送ることにした。
彼女を車に乗せると、常備してあったタオルで濡れた服を拭いてもらいながら、道案内をしてもらい、彼女が住むマンションの前についた。驚いたことに、俺の家から歩いて数分のところにそのマンションは有ったのだ。
俺は、彼女が着替えたら、目的地まで送ると提案し、今度は彼女もそれを受け入れてくれた。車の中で待つこと十五分、彼女が戻ってきた。
俺は彼女の目的地である、神保町に向けて車を走らせた。
彼女はフリーでライターをしていて、今日はいつも依頼を受ける出版社に打ち合わせに行くのだと言っていた。それが終われば今日は仕事を休み、買物に行く予定だったと言うことだった。出版社の編集部と言うものは、結構徹夜が多く、そのために午前中は逆に仕事にならないケースがあるので、こんなに朝早くそこに行くのだそうだった。
その出版社につくと、俺は名刺を渡して、汚れた服のクリーニング代の支払いをさせてもらうことを申し出た。
彼女は笑って名刺を受取ってくれたが、返事はしてくれなかった。
それから一週間後、携帯に知らない番号で着信があったので、出てみると彼女だった。
先日のお礼がしたいと、逆に言うので、それは大変に嬉しいことだがとても受けるわけにはいかないと、俺は彼女の申し出を断った。そうすると、彼女はその時にクリーニング代の請求をさせてもらうと言うので、仕方なく“お茶だけなら”と言う約束で待ちあわせることにしたのだった。
きっと、あまりに俺が低姿勢だったので、悪いと思ったのだろう。
これが俺と彼女の出会いだった。
その後、俺たちは何となく“お茶デート”をするようになり、そして後交際をする中に発展して行ったのだった。
今は、彼と彼女の関係になり、両家の両親公認となっている。近く、俺は彼女にプロポーズをするつもりだ。
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